導入
本記事では、数多くの機械学習ライブラリを含んでいるWekaを用いて、基本的なテキスト分類を行っていきます。
第1回は、機械学習とテキスト分類の基本概念に焦点を当て、テキスト分類における重要なアルゴリズムであるTF-IDFについて詳しく学びます。
第2回は、データセットの用意、および前処理のプログラムに焦点を当てて説明します。
第3回は、Wekaを使用して、TF-IDFによるテキスト分類の機械学習モデルを作成し、モデルの評価を実施します。
機械学習とテキスト分類
機械学習とは
機械学習とは、コンピュータがデータを分析して、特定のカテゴリやパターンを学習する技術になります。
機械学習の主な工程は、以下になります。
- データ収集
機械学習に使用するためのデータを収集します。
- データの前処理
機械学習のアルゴリズムで処理するために、収集したデータを整形する必要があります。
収集したデータには、異常値や欠損値などがあり、これらを除去したり、整形する必要があります。
また、データの振れ幅が大きい場合、機械学習モデル(機械学習により生成されたアルゴリズムのこと)の精度が下がるため、データの正規化や標準化を行います。
- モデルの選択
目的に応じて、機械学習モデルを選択します。
機械学習モデルには、回帰、クラスタリング、主成分分析など様々なモデルがあります。
- トレーニング
収集したデータは、通常、訓練データとテストデータの二つに分けられます。
ここでは、訓練データを用いて、機械学習アルゴリズムは特定のカテゴリやパターンを学習します。
- モデルの評価
テストデータを用いて、機械学習モデルの評価をします。
評価方法では、精度、再現率、平均二乗誤差などがあります。
- パラメータのチューニング
評価の結果、機械学習モデルにとって最適なハイパーパラメータを見つけ、逆に性能を低下させる可能性のある不適切なパラメータを調整します。
- モデルの運用
トレーニング、モデルの評価、およびパラメータのチューニングを繰り返し行い、最適なモデルが生成されたら、実際の運用に導入します。運用後は、モデルの性能を定期的に評価し、必要に応じてモデルを調整することが求められます。
テキスト分類とは
テキスト分類とは、テキスト分類は、自然言語処理の中で重要なタスクであり、テキストデータをあるカテゴリやクラスに自動的に分類する処理です。
テキスト分類は幅広い応用があり、以下のような場面で利用されます。
- ニュース記事の分類
スポーツ、政治、ゲームなどに記事を分類することで、ユーザは好みのトピックにアクセスしやすくなります。
- 商品レビューの分類
商品のポジティブ、ネガティブな内容などを分類することで、ユーザは有用な情報にアクセスしやすくなります。
- スパムフィルタリング
受信メールを有用なメール、スパムメールに分類することで、ユーザから危険なメールへのアクセスを守ることができます。
Wekaの紹介
Wekaは、様々な機械学習アルゴリズムが実装されているオープンソースのライブラリで、無償で利用することができます。
Wekaの特徴を以下に記述します。
- オープンソース
Wekaはオープンソースのソフトウェアです。
無料で提供されており、商用利用も可能ですが、使用にあたっての条件については注意することが必要です。
- 多彩な機械学習アルゴリズム
Wekaは、データの分類、回帰、クラスタリングなどの豊富な機械学習アルゴリズムが実装されています。
- 充実した評価モデル
Wekaには、モデルの評価に役立つツールが多く含まれています。
例えば、精度、再現率、平均二乗誤差など、様々な評価メトリクスを利用できます。
TF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)とは?
TF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)
TF-IDFは、自然言語処理の分野で広く利用され、TF(Term Frequency)とIDF(Inverse Document Frequency)という考え方を組み合わせた統計的な手法です。
計算式にすると以下になります。
\(TFIDF(w_i,d)= TF(w_i,d) IDF(w_i)\)
TF(Term Frequency)
TF(Term Frequency)は、文書内である単語がどれくらい頻繁に出現するかにより、その単語の重要度を評価する指標です。
一般的に、文書内で多く出現する単語は、その文書の特徴を表す可能性が高いと考えられます。
計算式にすると以下になります。
\(TF(w_i,d) = \dfrac{単語w_iの修験頻度}{文書dの単語数w_i} \)
例えば、ITの記事では、「機械」「AI」などの単語は頻繁に見られるため、IT記事を表すのに重要な単語と言えます。
IDF(Inverse Document Frequency)
IDF(Inverse Document Frequency)は、ある単語が出現する文書数をカウントし、その単語の文書集合内での重要度を評価する指標です。
一般的に、ある単語を使用する文書の数が少ないほど、その単語は文書の特徴を表す重要な単語であると考えられます。
計算式にすると以下になります。
\( IDF(w_{i}) = log(\dfrac{全文書数N}{単語w_{i}を含む文書の数} )+1\)
例えば、「私」「これ」「~です」などの単語は、どの文章にも出現するため、単語の重要度は低くなります。
本記事はここまでになります。
次の記事からは、機械学習のための前処理ついて、ソースコードと合わせて紹介します。
ぜひ、次の記事も読んでください。
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